web3において欠かせないのが「分散型」という概念です。この分散型の考え方は、ビットコインなどの暗号資産だけでなく、金融サービスにも広がっています。その代表格がDeFiでしょう。本稿では、DeFiの基礎知識について解説します。

web3に含まれる要素

web3はまだ定義の過程にありますが、2022年夏の時点では「web3とは、暗号資産、ブロックチェーン、NFT、メタバースなどを包括した言葉であり、別名『分散型インターネット』である」と言われています。

「暗号資産、ブロックチェーン、NFTはともかく、メタバースについては文脈が異なるのではないか」という議論もありますが、最近はweb3の文脈にメタバースも組み込まれていることが多いようです。

メタバースは、「インターネットの3D化」「SNSの3D化」とされ、現在はスマートフォンやPCでアクセスしている2Dのインターネット・SNSに、今後はXR・VR装置でアクセスし、仮想の3D空間でさまざまなコミュニケーションや経済活動がされるようになるでしょう。

メタバース上には国境の概念はなく、シームレスに世界中がつながることになります。そんなとき、為替が煩わしく感じられ、「国境のない世界共通通貨」とされるビットコインなどの暗号資産を決済通貨とする人や企業も徐々に増えていくでしょう。

暗号資産を保有する人や企業が増えれば、保有している暗号資産を有効活用したいというニーズも増えてきます。そうなったときに注目されるであろうサービスが、DeFiです。

DeFiとは

DeFi(読み方:デファイ、ディファイ、Decentralized Financeの略)は、2018年頃にインターネット上に誕生した金融サービスです。日本語では「分散型金融」と呼ばれています。イーサリアムブロックチェーン上を中心に数百以上のDeFiプロジェクトが立ち上がっており、プロジェクト毎に特徴を持っています。主要なサービスは以下のとおりです。

・レンディングサービス:暗号資産(ステーブルコインを含む)を貸し借りできる

・分散型取引所(DEX):ブロックチェーン上で暗号資産同士の交換、証拠金取引、各種デリバティブなどの取引ができる

・イールド・ファーミング:ユーザーが預け入れた暗号資産を運用し、運用益を稼ぐことができる

・ステーキング:トークンを一定期間ロックすることで報酬が貰うことができる

私は勉強会などでは、DeFiを「金融サービスの自動運転」と説明しています。これまで銀行などの金融機関が行っていた金融サービスを、ブロックチェーンを活用して自動化していくのがDeFiです。

「分散型」という言葉は、web3や暗号資産について調べているとよく出てくる言葉でしょう。一言でいえば、「中央管理者がいない仕組み」のことです。分散型は、web3における重要なキーワードのひとつです。

例えば、暗号資産の代表格であるビットコインは「分散型通貨」と呼ばれています。特定の発行者や管理者はおらず、みんなで管理している通貨です。だれでも参加できるマイニングという承認作業によって、取引のチェックがされています。

ビットコインは、ブロックチェーンという技術の最初のアプリケーションであり、分散型通貨の成功事例でもあります。この「分散型」を、通貨だけでなく、より広義に捉え、銀行業などの幅広いシーンで活用していくのが「DeFi(分散型金融)」です。

DeFiでは、ブロックチェーン技術を証券や保険、デリバティブ(金融派生商品)、レンディング(融資・投資)などのさまざまな金融分野に応用させ、中央管理者が不在の透明性の高い金融プラットフォームを目指しているプロジェクトが多くあります。

「買い手と売り手」「貸し手と借り手」「出資者とプロジェクト」などのように、取引にはお金を出す人とお金を受け取る人がいます。その仲介者が、銀行や証券会社、保険会社、投資会社などの企業です。従来の金融では、仲介というマッチング機能を提供することで、お金を出す側と受け取る側、二者間の取引の信頼を担保し、スムーズに進めることで手数料を得ていました。

中央管理者がいない分散型金融では、二者間の取引に介入して信用を担保するのではなく、ブロックチェーン・スマートコントラクトといったプログラムで契約を実行することになります。手数料も安く、よりスピーディーで透明性の高い取引が可能になるでしょう。

DeFiプロジェクトが孕むリスク

2018年頃に生まれ、市場規模が拡大しているDeFiですが、イノベーター理論ではどの時期にあるのでしょうか。

イノベーター理論とは、新しい製品やサービスの市場への普及率を表したマーケティング理論。スタンフォード大学のエベレット・M・ロジャーズ教授が『イノベーション普及学』という著書で1962年に提唱したことで有名です。

イノベーター理論では、普及の過程を以下の5つの層に分類しています。

・イノベーター(革新者)

・アーリーアダプター(初期採用者)

・アーリーマジョリティー(前期追随者)

・レイトマジョリティ(後期追随者)

・ラガード(遅滞者)

投資という観点でいえば、イノベーター期やアーリーアダプター期のうちに投資する方が大きな利益を得られる可能性が高いということになります。

しかし一方で、その時期から市場に参加するということは大きなリスクを取るということでもあります。世界中で生まれているDeFiプロジェクトですが、2016年から2017年頃のICOブームと同様、最初から悪意を持って立ち上げられた詐欺プロジェクトも乱立しています。また、素晴らしい志を持ってスタートしたプロジェクトでも、投資資金が集まると音信不通になったり、突如プロジェクトが解散してしまうことがあります。

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この記事を書いた人

中島宏明

経営者のゴーストライター
(書籍、オウンドメディア、メルマガ、プレスリリース、社内報、スピーチ原稿、YouTubeシナリオ、論文…)
  
2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。2014年に一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から暗号通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は複数の企業で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。

マイナビニュースで、投資・資産運用や新時代の働き方をテーマに連載中。