今月のコンテンツ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1)22年12月のJREIT市況の振り返り

2)22年のJREIT市況の振り返り

3)23年1月のJREIT市場の見通し

4)23年JREIT市況の見通し

注:執筆は12月30日 終了時点です。

22年12月のJREIT市場全体の振り返り

22年12月1日~30日のJREIT市況を簡単に振り返っておきましょう。

(12月30日終了時点での執筆です。)

東証REIT指数をみると、12月1日1950ポイント付近でスタートしました。月半ばにかけて、少し上昇傾向にありました。これは、12月13-14日のFOMC後の利上げ幅がそれまでの0.75ポイントから0.5ポイントに縮小されたことが影響しているようです。

しかし、20日の午後に日銀金融政策決定会合で「異次元緩和」の一部解除の報が伝わると、後場が始まると一転大きく値を下げました。20日の1日の下げ幅は5%を超え、東証REIT指数は終値で1830ポイント台となりました。その後少しずつ回復し、28日には1900ポイント付近まで回復、30日終値では1894ポイントで22年を終えました。

全JREIT分配金利回りの平均は、3.91%(12月30日終了時点)で、前月末は3.77%でしたので、価格下落にともない利回りは上がりました。

2022年のJREIT市場の振り返り

アメリカの4度にわたる利上げ、そして12月は日銀金融政策の変更と、金融政策に大きく振りまわされた年となりました。その影響をもろに受ける格好となり、4回の大きな下げを味わうことになります。1月21日、6月15日、10月28日、12月20日が大きく下げた日となります。このうち、1月20日頃から3月半ばの間は低迷が続きましたが、それ以外の大きな落ち込みの後は1週間~2週件程度で戻していました。22年の不動産市況は概ね好調でしたので、「金融政策の動きにより、資金移動が起こり、その影響が価格に大きく出た」ということでしょう。

23年1月のJREIT市場の見通し

アメリカFOMCは、1月31日―2月1日に開催、日銀金融政策決定会合は1月17-18日に開催されます。1月分の日銀金融政策決定会合では、大きな動きはないと思われますので、1月は比較的動きの少ないJREIT相場になると思われます。

2023年のJREIT市況の見通し

23年のJREIT相場は、我が国の金利上昇がどのくらいの幅でみられるか、が大きなポイントになるでしょう。

ご承知のとおり、12月20日に日銀は、「異次元緩和」を少し転換する政策を発表しました。具体的には、政策金利はいわゆる「マイナス金利政策」を維持するものの、長期国債の買い入れにおける許容範囲をこれまでの0~±0.25% から0~±0.5%に変更。これにより、長期国債は0.5%まで上昇可能性が出てきました。実際に12月30日の10年物国債の金利は0.43前後で推移しています。

長期国債金利の上昇は、実物不動産市況では、主に以下の3つのような影響を及ぼします。

1つ目は、住宅ローン金利、特に固定金利の上昇を招きます。すでに住宅ローン固定金利は上昇しています。また、仮に政策金利が上がれば、短期プライムレートが上昇、そして変動金利の上昇可能性が高まります。こうした状況になれば、22年は低調だった「持ち家」建築ですが、23年も厳しくなるでしょう。

2つ目は、先に述べたキャップレートの上昇可能性があります。キャップレートの上昇は、賃料一定ならば理論上(実取引ではなく)は、価格下落を意味します。理論上の価格が動くことと、実取引での価格が動くことの間にはタイムラグがありますが、「そのうちに」理論価格に収斂されます。

3つ目は、円高へ振れることで、外国人投資家の優位性が減るという影響です。実際に先に述べた国債金利の許容範囲の変更により、為替相場は大きく動きました。一時は1ドル150円に迫る状況から、現在では132円前後となっています。

23年1月以降の日銀金融政策決定会合では、「いつ政策金利の利上げが行われるのか」に注目が集まっています。4月には日銀黒田総裁の任期が切れ、新しい総裁が決まります(続投の可能性も否定できませんが)。現在の金融緩和政策は引き継がれるものと思われますが、岸田内閣の出方次第で変更の可能性もあります。

また、アメリカの利上げスピードは徐々に低下することは確実で、24年には利下げ可能性も出てきました。この動きを先取りする形で23年後半からはリセッション気配が出てくることでしょう。

という状況で、23年のJREIT市況は、金利の動向の影響を大きく受けながら、価格上下が今年以上に激しくなると思われます。東証REIT指数では、22年は1月下旬に付けた1700ポイント(1月21日に1792ポイント)台が再びあるかもしれない一方で、コロナ前20年2月20日頃に付けた2250ポイントもあるかもしれません。

インカムゲインが投資の主目的の方が多いJREITですが、23年は上手く投資をすればキャピタルゲインを狙える年になるかもしれません。

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この記事を書いた人

吉崎 誠二

不動産エコノミスト
社団法人住宅・不動産総合研究所 理事長 
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。
立教大学大学院 博士前期課程修了。
㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。

【著書】
「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社)「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。

【レギュラー出演】
ラジオNIKKEI「吉崎誠二のウォームアップ840」
ラジオNIKKEI「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演