別稿「ウィズコロナの新時代に必要なシン・資産とは?」を寄稿していただいたアンティークコインギャラリア店主の渡辺孝祐氏は、10年以上前からアンティークコインの収集や取引の経験をお持ちです。本稿では前編に続き、なぜアンティークコインに注目したのか? なぜアンティークコイン投資が富裕層から好まれるのか?などの質問に答えていただきました。

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インタビュイー:アンティークコインギャラリア 店主 渡辺孝祐氏

アンティークコインギャラリア公式サイト

https://antique-coin-galleria.com/

インタビュアー:経営者のゴーストライター 中島宏明

最初の一枚を買うときの注意点

――アンティークコインを購入しようと思ったら、最初の一枚は渡辺さんのようなプロに相談して決めるのが安全ですね。

渡辺孝祐氏(以下、渡辺氏):ネットで調べて「とりあえず買ってみた」という方もいらっしゃるのですが、一枚目から偽物を買ってしまっていることもあります。中には悪徳業者もいて、相場では100万円のコインを600万円で販売しているケースもあります。そういった悪徳業者は、コインの情報を限定的にしか教えません。鑑定番号やグレードを教えず、商談しても写真を撮らせてくれず、その場で購入を決めさせることがあります。また、アンティークコインの業界はどうしても情報がクローズドです。それを悪用して調べても情報を得られない変にレアなコインを売っていたりします。プロでもよくわからないコインですから、当然真贋リスクが高くなります。

例えば、ナポレオン3世の金貨は同じコインでも年によって発行枚数が違います。発行枚数が少ない年のコインは、当然希少性が高いので価格も高くなります。また、紀元前のアンティークコインは柄・デザインが多様で、同じ時代のコインでも価格が異なります。一見すると価値があるとはわからないものもありますから、やはりプロに相談しながら決めるのが良いと思います。ちなみに私が最初に購入したアンティークコインは、ワイマール共和国 の銀貨です。

――最初は銀貨だったのですね。ニッチなのかもしれませんが、ニッチゆえの面白さもありそうですね。絵画でいうと、当時新興国だったアメリカの富裕層が買ったのは印象派絵画でした。印象派をアメリカに持ち込んだのは、ポール・デュラン=リュエルというフランスの画商なのですが、当時のアメリカの富裕層はフランスへの憧憬があったようで。ヨーロッパの富裕層はバロック、ルネサンスの絵画を好んだのですが、贋作が少ないので印象派が好まれたそうです。まだ歴史が浅かった印象派は、所有履歴、流通経路が明確だったという理由もあるようです。印象派絵画はその後世界中で人気になり、価格も高騰しています。贋作を保有してもそうはなりませんから、しっかり本物を長期保有するというは鉄則ですね。

アンティークコイン業界の課題

――業界の情報がクローズドというお話が出ましたが、業界にはどんな課題があると感じますか?

渡辺氏:業界自体が閉鎖的で、アンティークコイン市場に関するデータが不足していると思います。また、相場サイトが英語なので、言語の壁もあります。

偽造コインも多く出回っているため、最初の一枚で偽物を購入してしまい、その後もう買わないという方もいらっしゃいます。悪徳業者による過剰な手数料や、陰謀論等を用いたマーケティング、情報の非対称性(買い手が不利)など、業界全体の信頼性の低下というのが大きな課題です。

そのため、やはり認定ディーラーからの購入で真贋リスクを回避していただきたいと思います。少しでも業界全体のためになればと、当店ではYouTubeなどでの情報発信や「生涯の真贋完全保証」、購入から売却までの「専任コンシェルジュ制」などの取り組み・サービスも展開しています。

◆オウンドメディア「アンティークコインタイムズ

◆YouTubeチャンネル「アンティークコインマニア

――アンティークコインギャラリアさんには、どのようなお客様が多いのでしょうか?

渡辺氏:医師や経営者、地主、不動産オーナーの方が多くいらっしゃいます。お子様やお孫様に資産を残すために長期保有を前提に購入される方が多く、50%以上の方に複数回ご購入いただいています。累計で億以上ご購入いただいているお客様もいらっしゃいます。

経営者の方には、もともと歴史好きでアンティークコインに関心があったという方もいらっしゃるのですが、中にはアンティークコインの購入をきっかけに、その国の歴史や文化に関心を持たれる方もいらっしゃいます。発行から100年以上が経つとアンティークコインということになるのですが、紀元前のローマ皇帝の時代からヴィクトリア女王、ナポレオンなど君主をデザインしたコインがあります。コイン発行の背景にはその国や地域の歴史があるので、教養を身につけるという豊かさ、リターンもあると思います。

アフターコロナで海外渡航もしやすくなりましたから、アンティークコインの視察ツアーなども当店で企画しているところです。ご家族やご友人と一緒に現地を巡ってみると、新しい発見があるかもしれません。これからも、アンティークコインの魅力を多くの方々にお伝えしていきたいと思います。

この記事を書いた人

WMJ編集部

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