―IFAの特徴は何ですか?

中立な立ち位置でお客様に最適な商品を提供できる

IFAは、銀行や証券会社のように自社商品を販売するわけではありません。自社商品を販売すると、どうしてもお客様に自社商品を売ろうとして、結果としてお客様のニーズと異なる運用を提案するケースが頻発します。IFAは、自社商品を持たないため、常に中立的な視点を持ち、お客様の要望に沿うアドバイスや商品・サービスの提供が可能です。

担当者が変わらず、長期的な資金計画を安心して任せられる

お客様との信頼関係は長い時間をかけて構築されるもので、一般的な銀行や証券会社の異動サイクルである数年で出来上がるものではありません。また、若いときの長期にわたる保険の選択、積み立てなどでの資金運用や住宅ローン、シニアになっての事業承継、相続対策など、長きにわたる計画的な資金運用、資金調達が必要ですが、こうした長期の資金計画を任せるには永続的な担当でなければ不可能です。

IFAは、お客様の承諾を得ずに異動や転勤により、担当が代わることはありません。お客様の一生に寄り添って、さらには世代を超えてより良い人生のためのアドバイザーとして力を注ぐ、そこにIFAの大きな価値があります。

―取り扱う商品は何ですか?

株や債券だけでなく、相続や事業承継、海外留学、ワインや絵画など非金融領域のアレンジもやっています。まさに金融コンシェルジュともいえる幅広いサービス提供をおこなっています。

―IFAが日本で認められたのはいつからですか?

2004年に小泉純一郎首相(当時)の下で法令改正が行われ、証券(金融商品)仲介業が制度化されてIFAが認められました。現在は、内閣総理大臣の登録で業務ができるようになっています。

―IFAのビジネスモデルはどうなっていますか?

IFAには、「金融商品仲介業」と、「投資助言・代理業」という二つのビジネスモデルが存在します。このうち、「投資助言・代理業」は、お客様からの預り資産残高に応じて相談料をもらえますが、日本ではまだなじんでいません。「金融商品仲介業」は証券会社からもらう手数料を収入のベースにしており、お客様から手数料をもらうことはありません。なお、不動産会社などへお客様を紹介することによって得られる紹介料もあります。

―どのような顧客がターゲットですか?

一般的には保有金融資産5億円以上の超富裕層、1~5億円の富裕層がターゲットになります。ただ、将来の取引を見込んでそれ以下の資産規模のお客様との取引も数多く行っています。

―IFAの担当制はどうなっているのでしょうか?

一般的に、お客様の資産規模に応じて複数名のチームを編成します。複数名が担当する方が多角的なアドバイスができますし、メンバーが情報を共有することで、一人が休暇などでもサービスを途切れさせません。特に金融商品の市場は急変することがあり、複数のメンバーがカバーすることで、投資機会を逃さず運用することができます。

また、取り扱うサービスの幅が広いのもIFAの特徴です。お客様のリクエストがあればIFAの既存のネットワークに限らず、新たなルートを開拓してソリューションを拡充する柔軟性があります。

―お客様がIFAを選ぶ際の決め手は何でしょう?

IFAは急速に人数が増加しており、まだまだ個々のサービス品質にはばらつきがあります。大きな資金を任せるわけですから、従来の金融サービスの枠にとらわれず幅広いニーズにソリューションを提供する力、そしてきめ細かなサービス力がある業者をじっくり選びたいところです。

―IFAに求められる資質とはなんですか?

個人としての資質

プロとしての知的好奇心と、それを満たすための向上心、そして絶え間ない努力が大切です。欧米のIFAでは、「オープンマインドが大切だ」と言われていますが、先入観にとらわれず、新しいことを吸収できるマインドを忘れないことが重要だと思います。

一方で、ミクロな面の大切さも忘れてはなりません。当たり前のことを当たり前に、誠意をもって誠実にできること。法令順守は当然として、時間を守るなど、人として当然の行動が出来なければIFAの仕事は務まりません。

プロフェッショナル人材

税理士、会計士、ポートフォリオマネージャー、アナリストなど、様々な分野のトップクラスがIFAに転身しています。IFA同士の情報交換会や勉強会を通してお互いの知識や経験をシェアし、スキルアップを図っています。

―欧米のIFA事情はどうなっていますか?

欧米の富裕層の多くは銀行や証券会社と同様にIFAとも取引するのが一般的。資産運用も含め、お金に関するあらゆることをIFAに相談するのです。日本と欧米諸国との間に広がる金融リテラシーにはいまだに著しい差があります。ただ、近い将来IFAの発展とともに急速にその格差が縮小していくでしょう。

―日本におけるIFAの現状はどうなっていますか?

最近はIFAの認知度が高まり、すでに複数の金融機関とお取引があるお客様が、中立的な立場でのアドバイスが欲しいと、IFAに相談する機会が増えています。中には2社以上のIFA事業者と契約されているお客様もあり、IFAの裾野は着実に広がっています。

―IFAの存在感が増すタイミングはどのような時ですか?

リーマンショックやITバブル崩壊など、世界的な金融市場の混乱に直面すると、将来の見通しがつかなくなり、資産運用が一層難しくなります。また銀行や証券会社など大手金融機関は業績が悪化し、担当者の交代が起こって連続的な投資アドバイスが受けられなくなったり、金融機関のポジションが邪魔をして迅速な取引ができなくなったりすることが往々にして起こります。実際、海外でIFAが急成長したのはリーマンショックやITバブル崩壊などの時でした。不景気の最中には高度な金融知識を持つIFAへの期待が高まります。

新型コロナウィルス感染拡大以降、IFAへの問い合わせが増えているのは、客観的な意見や選択肢についてみなさんが知りたがっていることの現われでしょう。コロナ禍を境にオンライン面談へのハードルが下がってきたことで、相談者のエリアが広がったこともIFAにとっては追い風になりました。

―苦境にあえぐ地銀との共存共栄は期待できますか?

メガバンクは今や非金利収入が50%以上ですが、地方銀行はエリアが限られることもあって、超低金利が続く中厳しい経営状況が続いています。地方で高度な金融人材を確保することは難しいですが、IFAと提携して資産運用部門を充実させることは良いことだと思います。

ここ2,3年金融業界の分業化が進み、IFAの世界では、証券会社や銀行から独立系のIFAへと人材が流出しており、このながれは続くと思われます。優秀な人材を活用して、IFAが地銀のお客様の資金運用サービスを手伝う事例が今後増えてくると思います。

この記事を書いた人

WMJ編集部

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