日経平均株価は、約2カ月ぶりに28,000円台を回復し、8月17日につけた高値29,222円に接近してきました(執筆時点:11月24日現在)。このまま、年末に向けた株高となるのでしょうか。
■パーフェクト・オーダーは、強いトレンドが発生した時に出現するシグナル
「パーフェクト・オーダー」という言葉をご存じでしょうか。
このパーフェクト・オーダーとは、短期、中期、長期の時間軸の違う複数の移動平均線が、同じ傾きの方向で並んだ状態=強いトレンドが発生している相場を指します。投資家がよく使っている「25日線」「75日線」「200日線」の三本の移動平均線で詳しく説明しましょう。
まず、上昇トレンドの場合は、この三本の移動平均線が下から200日線、75日線、25日線の順に並びます。最も重要なのは移動平均線の「向き」です。いずれの線も右肩上がりの上向きで、その三本の移動平均線の上で株価が推移していれば、強い上昇トレンドが発生していると言えます。
逆に、下落トレンドの場合は、三本の移動平均線は上から200日線、75日線、25日線の順に並び、向きはいずれも下向き。三本の移動平均の下に株価の位置があれば、強い下落トレンドだと判断できます。
強いトレンドが発生しているのですから、トレードはもちろん「順張り」です。上昇トレンドであれば素直に「買い」、下落トレンドであれば「売り」でエントリーするのがセオリーだとされています。
■稀にしか出現しないシグナルでもある!
楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリストの土信田雅之氏によると、「直近で、このパーフェクト・オーダーが出た場面は非常に少なく、最短でも2020年8月に遡る」とのこと。
2020年8月の相場と言えば、新型コロナウイルスに対するワクチン開発に期待感が高まったことや、トランプ政権が実施した積極的な経済対策を支えに米国株が上昇したことで、日本株にもその流れが波及。日経平均株価は反発し、新型コロナウイルス感染拡大前の2020年1月以来の水準を回復しました。日経平均は、8月は7月末比1,429.76円(6.58%)高の23,139.76円にとどまらず、翌年の2021年2月にかけて30,000円超まで上昇しました。
さらに遡ってみましょう。2020年8月以前にパーフェクト・オーダーが出たのは、新型コロナウイルスの感染が拡大する前の「2019年9月」です。その2019年9月の日経平均株価は反発し、終値は21,755.84円で、8月末に比べると1,051円47銭(5.07%)高でした。
この頃、米国と中国が貿易を巡り、協議するとの見方が広がったため、相場の重しとなっていた「関税引き上げの応酬で世界的に景気が減速する」との懸念が和らぎました。また、円安・ドル高に推移した為替相場も追い風に、日経平均株価の一カ月の値動きの幅は1,478.65円と、2018年12月以来の大きさとなりました。その後、日経平均株価は、2019年12月にかけて24,000円超まで上昇しています。
■2022年、年末ラリーに期待大!!
実は、その稀にしか出現していないパーフェクト・オーダーが、11月24日現在、出現しようとしています。移動平均線を見ると、すでに75日線が200日線を上抜き、その75日線を25日線が上回ろうとしています。上回れば、上から、25日線、75日線、200日線の順に並び、しかも、上昇トレンドの条件のひとつである、三本の移動平均線の向きもすべてが上向きです。
取り上げた過去の例をみると、パーフェクト・オーダーが出現したあと、上値を抑えていた直近の高値を上抜けたあたりから、さらに株価が大きく上昇するのも共通しています。
もし、今回もパーフェクト・オーダーが出現したのなら、次は、冒頭で取り上げた8月17日につけた戻り高値29,222.77円を上抜けるのかどうかが大きなポイント。上抜ければ、日経平均株価30,000円乗せも現実味をおびてくるかもしれません。
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