web3には、NFTやメタバース、GameFiなどの要素が内包されています。そんなweb3領域に投資する人も増えていますが、「大切な資産を守る」という観点ではよくよく注意が必要です。まだまだ投資よりも投機であるという認識を今一度持った方が良いでしょう。

魔界コイン・魔界銘柄とは

web3における「魔界」とは、 高配当で魅力的ではあるものの、極めてハイリスクであり、なかにはそもそもラグプル(Rug Pull)設計になっており、詐欺もしくは運営サイドの持ち逃げ(俗にいう“飛ぶ”)の可能性があるプロジェクトのことをいいます。

ラグプルは出口詐欺のことで、開発・運営者が投資家を誘い込んで暗号資産やNFTを販売し、その後プロジェクトを突如放棄して得た資金を持ち逃げする行為です。

そんな魔界に該当する暗号資産は、「魔界コイン」「魔界銘柄」などと呼ばれています。

魔界の魔力とリスク

魔界コインのなかには、年利1000%を超える超高配当のものもあります。「わずか数分で利益を出すことができる」場合や、「魔界コインの価格が1日で10倍以上に高騰する」場合もあります。そんな投資の常識では考えられない利益を出せるかもしれないのが魔界コインの世界ですが、大きなリターンには大きなリスクがつきものであり、消滅リスクも高いことを知っておきましょう。

魔界コインの「価格10倍超」は日常茶飯事で、これだけ聞くと「魔界コインに投資すると儲かりそうだ」と思えるかもしれません。しかし、高騰の後には大暴落が起こります。

2021年に暴騰したTITANという暗号資産は、リリース当初は1コインあたり1.68ドルで取引が開始され、最高値時には38倍以上の64.19ドルという価格まで高騰しました。しかし急騰したTITANも、バブルが弾けた途端に価格は42億分の1にまで急落しています。そんな価格の乱高下が、「魔界」と呼ばれる所以です。

上記のとおり、魔界には相当のリスクがつきものであり、ラグプルや大暴落のリスクがあります。

そもそも詐欺として立ち上げられているプロジェクトも数多くあり、「魔界コインを買えたものの、流動性がないので売る場所がない」という事態も起こり得ます。最悪の場合、魔界コインはただの電子ゴミ・デジタルジャンクに成り下がります。

魔界に巻き込まれないための対策

投資前にはよくよく注意が必要な魔界コインですが、そんな魔界のなかでも「比較的良い魔界コイン」と「詐欺の可能性が高い悪い魔界コイン」があります。

魔界コインに投資する前に必ずチェックしていただきたいのが、「TVLの数量」です。

TVLは「Total Value Locked」の略で、魔界コインを発行するDeFiプロジェクト(流動性プール)のなかに預けられた総資産額を指します。TVLは、魔界コインを換金性の高い他の暗号資産や法定通貨に換金できるかどうかの指標です。

例えば、そのDeFiプロジェクトが保管しているTVLが100万ドルの場合は、魔界コインを換金できるのは最大でも100万ドルということになります。TVLの数量が大きければ大きいほど、即座に換金できる可能性が高まります。

TVLのほかには、「流動性のロック期間があること」も魔界コインを見極めるポイントになります。流動性のロック期間が定められているということは、「資金を引き出せない」ということで、つまりは「いっぺんに大量には売られない」ということになります。大暴落やラグプルのリスクが多少低くなり、価格高騰に繋がるケースもあります。

一方で、詐欺の可能性が高い悪い魔界コインの特徴としては、著作権を無視して人気アニメや人気コンテンツを盗作しているものが挙げられます。また、人気が出た魔界コインやDeFiプロジェクトはすぐにマネされます。システムやデザインの盗作疑惑があるものは、投資対象としない方が賢明でしょう。

魔界コインは、GameFi関連のプロジェクトに多いのですが、NFT銘柄にもメタバース銘柄にも存在します。魔界の魔力にハマると、なかなか抜け出せないようです。資産を守る観点を忘れずに、投機・ギャンブル要素の強いものに投資しないようにしましょう。投資で資産を失うのは一瞬です。

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この記事を書いた人

中島宏明

経営者のゴーストライター
(書籍、オウンドメディア、メルマガ、プレスリリース、社内報、スピーチ原稿、YouTubeシナリオ、論文…)
  
2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。2014年に一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から暗号通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は複数の企業で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。

マイナビニュースで、投資・資産運用や新時代の働き方をテーマに連載中。