新型コロナ感染症は多くの産業で深刻な影響をもたらしました。そんな中、国は、新型コロナ感染症の影響を受けた中小・中堅企業に対して、ポストコロナに向けた大胆な事業再構築に対して最大で1億5000万円の補助金を用意しています。今回は、本事業再構築補助金の概要を解説します。

1:事業再構築補助金とは?

事業再構築補助金の公募要領によると事業再構築補助金の目的は下記のように規定されています。

※公募要領https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/koubo006.pdfより引用

新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新分野展開、業態 転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とします。

2:事業再構築補助金3つのポイント

では、具体的にどのような取組や企業が、補助金を申請できるのでしょうか?3つのポイントを解説します。

ポイント1:新型コロナ感染症の影響により売上等が減少していること

2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コ ロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること、といった新型コロナ感染症の影響により売上高等が減少していることが必要です。

※売上高に代えて、付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)の減少でも認められます。また、グリーン成長枠(カーボンニュートラルの実現に資する取組等)の場合には、売上高の減少は求められません。詳細な要件は、公募要領を参照ください。

ポイント2:新規事業(事業再構築指針)に沿った取組であること

まず、事業再構築補助金の申請のためには、下記の事業再構築指針という指針に沿った取組である必要があります。

概要を説明すると①新製品(またはサービス)で、新市場に進出する取り組みであるか、②新たな製造方法またはサービスの提供方法を導入する、といった取組が要件となります。

例えば、飲食店を経営していたけど新型コロナ感染症の影響によって経営に深刻な影響を受けてしまった会社を例として事業再構築指針の内容を説明すると以下のようになります。

事例1

今まで来店型の居酒屋を経営していたが、コロナによってデリバリーニーズが増加することから、新しくピザの宅配チェーンに加盟して宅配ピザの事業を始める。

→従来とは異なる新商品(ピザ)で、新市場(デリバリー市場)に参入することから要件を満たす(申請可能)

事例2

今まで来店型の居酒屋を経営していたが、コロナによってデリバリーニーズが増加することから、デリバリー用の「お弁当」を開発して、デリバリーサービスを始める。

→従来とは異なる新たなサービスの提供方法(デリバリー)を導入することから、要件を満たす(申請可能) ※厳密には、他にも要件がありますが本稿では概要をお伝えするために主要なポイントにフォーカスして説明をしています。詳しい要件は事業再構築指針の手引きを参照ください。

ポイント3:補助対象経費への投資を伴うこと

なお、仮に上記の要件にあてはまっていたとしても、下記の補助対象経費に該当する投資がない場合には補助金は申請できません。例えば「人件費」については下記の補助対象経費に該当がないため、人件費への投資は補助金の対象になりません。

<事業再構築補助金の補助対象経費> 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、 広告宣伝・販売促進費、研修費

また、公募要領によると、本事業では、中小企業等が将来にわたって持続的に競争力強化を図る取組を支援することを目的としており、基本的に、事業拡大につながる事業資産(有形・無形)への相応規模の投資をしていただく必要があります。このため、一過性の支出と認められるような支出が補助対象経費の大半を占めるような場合には、本事業の支援対象にはなりません。との記載があります。そのため、特段の理由がない限り、全体の投資額の51%以上を、有形無形の資産への投資(建物・機械装置・システム構築など)で占める必要があります。

3:事業再構築補助金申請の流れ

以上の要件に当てはまる場合には、事業再構築補助金の申請が可能です。

では、実際に申請する場合にはどのような流れになるのでしょうか?大まかな流れは以下のような流れになります。

1:gBizIDプライムアカウントの取得

補助金申請のための電子申請アカウントが必要です。まずは、アカウントの取得をしてください。

2:事業計画の作成および必要書類の準備

事業計画書の作成および必要資料の準備をしてください。なお、具体的な事例は事務局で公開されています。こちらもぜひご参照ください。

3:電子申請

補助金事務局の電子申請サイトから、電子申請をします。なお、毎回締切が設けられています。詳しくは事務局のホームページを参照ください。

4:採択発表・交付申請

締切からおおむね2か月程度で採択発表があります。採択後改めて見積を添付して、最終的な決定の手続に進みます。

以上が、事業再構築補助金の概要です。新型コロナ感染症の影響を乗り越えるために国もいろいろな施策を用意しています。ぜひご活用ください。

2NFT/WEB3/ブロックチェーン/AI/アプリ開発…。最新IT投資を補助金申請する3つのポイント

NFT・WEB3・ブロックチェーン・・・。デジタルトランスフォーメーションを旗印に積極的に最新技術への投資が行われています。本稿では、このような最新のIT投資を行う際に使える補助金と、申請する際の3つのポイントを解説します。

1:結論!ものづくり補助金と事業再構築補助金が利用可能

IT投資については、結論として、ものづくり補助金と事業再構築補助金の2つが利用可能です。

※ものづくり補助金とは?

正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」でして、生産性向上のための設備投資(システム開発を含む)に対して、最大で1,250万円の補助金を申請できる制度です(※グリーン枠及びグローバル展開型はのぞく)。

詳しくは事務局ホームページにて

※事業再構築補助金とは?

2:ポイント1 内製化(人件費)は対象外

まず1つ目のポイントですが、内製化(人件費)は対象外となります!

あくまで、外部委託での開発が補助対象となります。

3:ポイント2 開発の必要性(現状の課題)

NFT・WEB3・ブロックチェーンなどの最新技術を申請する際には、「技術素人の方にもわかるように記載をしていく」ことがポイントです。また、そのために「そもそも、なぜ、今回このような開発を行う必要があるのか?」について

step1:現状の既存技術の課題を列挙する

step2:上記の課題を解決するために、今回の開発がどう役立つか?記載する

この順番での記載が求められます。

例えば、ブロックチェーンによる分散型コミュニティへの投資について記載例は下記のようになります。

step1:現状の既存技術の課題を列挙する

・弊社からの一方的な情報発信となっている。

→双方向のやりとりではないため、有益な記事を継続して発信していくことは難しい。

・オンラインでの横のつながりができない。

→記事へのリアクションや共感する事象があったとしても、現状では横のつながりに発展しない。

・プラットフォーマーによる情報管理

→仮にユーザーが記事を書いてもプラットフォーマーがいなくなると記事も消える。ユーザー主体性を得にくい。

step2:投資の必要性を記載する

また、上記の課題を解決するために、なぜ開発が必要か?についての説明を記載します。詳細は一部割愛しますが、例えば、下記のようなイメージです。

必要性1:ブロックチェーン技術を活用したユーザー参加型の仕組みの導入

必要性2:インセンティブ付与(トークン発行)によるコミュニティ活性化

4:ポイント3 アウトプット目標を定める

いわゆる製造業の「機械設備」と異なり、システム開発は目に見えない無形資産です。そこで、今回開発するシステムによって具体的にどのような目標を設定するか、といったアウトプット目標を定める必要があります。

例えば、AIによるラーニング・解析サービスなどでは下記のようなイメージです。

目標①:最低限●●●●個のデータから解析値を返せるようにする

目標②:平均●●分で解析値を返せるようにする

以上です。

システム開発は無形資産であり、効果や投資の必要性がどうしても有形資産に比べると見えにくい性質にあります。今回の記載の注意点を参考に、ぜひチャレンジしてみてください。

この記事を書いた人

若杉拓弥

若杉公認会計士事務所・株式会社アカウティングプロ 代表
慶應義塾大学商学部卒。大学3年時に当時全国最年少学年で会計士合格。実家の医院を継げなかった過去から、会社の医者として会計士の活動を展開。税務業務を行わず、新規事業立案・資金繰改善・管理会計導入といった経営コンサルティング業務をてがける。補助金等の支援も積極的に行っており、「ものづくり補助金」については、北は北海道、南は沖縄まで全国規模で中小企業の経営改善を支援。全国約2万の会計事務所の中でナンバー1の支援実績を誇る。