世界的なEV(電気自動車)シフトが進むなか、快走を続けるテスラ。最近は、BYD(比亜迪)やミニEVのSAIC-GM-Wuling Automobile(上汽通用五菱汽車)など中国メーカーの猛追を受けていますが、グローバルでの優位性は全く揺らいでいないようです。

大幅増収でもアナリスト予想下回る

テスラの2022年4~6月期の四半期決算が発表されました。

概要は以下の通りです。

(100万㌦)      売上高  営業利益   純利益  1株当たり利益
2021年  4~ 6月期   11,958   1,312   1,142    1.45㌦  
2021年  7~ 9月期   13,757   2,004   1,618    1.86㌦
2021年10~12月期   17,719   2,613   2,321    2.54㌦
2022年  1~ 3月期   18,756   3,603   3,318    3.22㌦
2022年  4~ 6月期   16,934   2,464   2,259    2.27㌦
(出所)決算発表資料より筆者作成

2022年4~6月期の売上高は169億3400万㌦で、前年(21年4~6月期)と比べ41.6%増と大きく増えていますが、直近の推移でみると21年10~12月期、22年1~3月期を下回っています。

また、アナリストの事前予想(Refinitivまとめ)だった171億㌦を下回りました。

テスラの生産能力の約半分を占め、欧州やアジアの輸出拠点でもある中国・上海のギガ・ファクトリーが、新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウンの影響を受け、3月28日から4月18日まで約3週間操業を停止したことが大きく影響したようです。

出荷台数もいったん足踏み

出荷台数を見てみると、現在の主力車種であるModel 3と Model Y が合計で23万8533台(前年同期比19.6%増)、Model SとModel Xが合計で1万6162台(同8.5倍)となっています。

Model S/Xは、コロナの影響で昨年の1~3月期と同4~6月期にModel 3/Y の生産を優先し、ほとんど生産されていなかったことがあり、伸び率が大きくなっています。

(出所)決算発表資料より筆者作成

値上げ効果で利益は倍増

支出面では、原材料費や物流費などの上昇により、製造原価は大きく増加しました。とくにEVの最重要パーツであるバッテリーの原材料であるリチウムなどの価格高騰が響いています。

ただ、テスラは昨年の後半から値上げを繰り返してきました。今年6月にも全車種の大幅な値上げを発表しています。こうした値上げの効果もあり、純利益は前年同期比97.8%増と倍増となっています。

(出所)決算発表資料より筆者作成

工場の稼働状況と今後の見通し

テスラが公表している工場の生産能力と稼働状況は以下の通りです。

(出所)決算発表資料

稼働停止に追い込まれた上海ギガ・ファクトリーは、再開後は2交代制を採用するなどして急回復しています。

米国内の工場も、グローバルサプライチェーンの混乱、労働力不足などの課題が継続していて、工場を常にフル稼働させることには限界があったことを認めています。

それでも、米フリーモント工場では、第2四半期に過去最高の生産台数を達成し、テキサスの新工場も生産能力の拡大が進んでいます。ベルリン工場も生産率が大幅に改善し、直近では1週間で1000台以上の Model Y 生産が達成されているようです。

引き続き、とくにテキサスとベルリンでの生産能力拡大を進め、販売台数の前年比50%増をめざす方針です。

また、遅れているテキサスでのサイバートラック生産についても準備が進められていて、イーロン・マスクCEOは、米国での納車を2023年半ばから開始したいと発表しています。

ツイッター買収や日本消滅発言など何かと話題を提供し続けるイーロン・マスクCEO。

そんな彼が率いるだけあって、テスラという会社も、良くも悪くもその動向が常に注目されています。

(出所)証券取引所データより筆者作成

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この記事を書いた人

加藤千明

1969年生まれ、福井県出身。
大手国内証券会社を経て、東洋経済新報社入社。
マクロ経済・金融部門を中心に、業界担当(エレクトロニクス・化学)、投資信託評価、地域経済、米国企業分析などの業務に従事。
2021年2月に独立。ファイナンシャルプランナー。プライマリー・プライベートバンカー。
幸せマネーライフの水先案内人-FPオフィスウィズ― 代表
決算情報をベースに、IPO、M&Aなど、米国株投資に役立つ、「気になる」「知りたい」米国企業の最新情報を発信するアメリカ企業リサーチラボを運営。