web3に投資する前におさえておきたいビットコインの歴史」と「ビットコインはどのように普及してきたのか」では、これまでのビットコインについて振り返りました。では今後、ビットコインや暗号資産はどのような歴史をつくっていくのでしょうか。

暗号資産を巡る法規制と淘汰

2010年以降、世界中で増加したビットコイン取引所ですが、イギリス初のビットコイン取引所だったブリットコイン(後にIntersango改称)は2012年に閉鎖。他にも、資金難などの理由によって2013年10月末に閉鎖したビットマーケット・euのような取引所も現れ、取引所の運営が簡単ではないことが窺い知れます。そして、2014年には有名なマウントゴックスのビットコイン流出事件が起こります。

その後、アメリカのニューヨーク州では、ビットコインやその他の暗号資産事業に関する法律「Bit License(ビットライセンス)」が 2014年7月に発表され、2015年8月に施行されました。また日本では、2017年4月に「改正資金決済法」が施行しています。世界各国では、ビットコインや他の暗号資産に関する法律が徐々に整備されてきており、いずれは国際的なルールも確立されるでしょう。

ルールが整ってくると、そのルールを守れない暗号資産関連企業は倒産するか、技術やコンセプトが優れているものはM&Aなどによって経営統合されていくことになると予想されます。今ではタケノコのように増え、1万種類以上が存在するといわれる暗号資産ですが、やがて半分以下になっている可能性もあるでしょう。法整備が進むほど、暗号資産の淘汰も進みますので、暗号資産への投資で利益を得るためには「消滅しない暗号資産を選ぶ」目利き力が大切になります。

CBDCと官製暗号資産

CBDCや官製暗号資産と呼ばれる動きにも、年々注目が集まっています。CBDCは、Central Bank Digital Currencyの略で、一般に「中央銀行デジタル通貨」と訳されます。CBDCは、次の3つを満たすものであると定義されています。

・デジタル化されていること

・円などの法定通貨建てであること

・中央銀行の債務として発行されること

世界では、独自に暗号資産を発行している国や政府もあります。国や政府が発行している暗号資産は、「官製暗号資産」とも呼ばれます。例えば、ベネズエラの官製暗号資産「Petro(ペトロ)」、ロシアの官製暗号資産「CryptoRuble(クリプトルーブル)」、スイスの官製暗号資産「e-franc(e-フラン)」、スウェーデンの官製暗号資産「e-Krona(e-クローナ)」、マーシャル諸島共和国の官製暗号資産「Sovereign(ソブリン)」、ドバイの官製暗号資産「emCash(エムキャッシュ)」、ウルグアイの官製暗号資産「e-Peso(e-ペソ)」などの官製暗号資産発行の計画が過去には発表されました。

暗号資産を支えるブロックチェーンは、データ改ざんを困難にし、取引を監視し合うことで管理者(中央集権)を必要としない技術です。透明性が高い技術ですから、税金の申告や税徴収の面では、官製暗号資産の導入は合理性があるかもしれません。

2030年には暗号資産が普及する?

「投資ではなく投機」「しょせん詐欺」など、未だネガティブな印象の根強い暗号資産ですが、世界の暗号資産ホルダーは増加傾向にあります。PayPayやSuicaのように日常的な支払いで暗号資産を利用したり、振込感覚で暗号資産を送金(送信)したり、株やFXのようにトレードをしたりする人はまだまだ少ないのですが、「ウォレットは持っている」「塩漬け状態だけど保有はしている」という人もいらっしゃるでしょう。

ボラティリティが極めて高い暗号資産ですが、値動きが激しいということは、デイトレードやスイングトレードのような短期投資で利益を出せる可能性がある機会も多いということでもあります。激しい値動きをネガティブに捉えるか、ポジティブに捉えるかは投資家次第です。

2020年の12月には、東南アジア大手銀行のDBS銀行による暗号資産取引所「DBSデジタル取引所」がサービスを開始するというニュースもありました。業界に従来の金融企業の参入が増加するなか、法人や個人のポートフォリオにビットコインなどの暗号資産が組み込まれるようになるまでには、どれくらいの期間が必要なのでしょうか。

投資会社オフ・ザ・チェイン・キャピタルの創業者であるブライアン・エスティス氏は、2020年の時点で「10年」と考えているようです。ということは、2030年には暗号資産が当たり前になっているのかもしれません。

エスティス氏は、コインテレグラフのインタビューのなかで、次のように予測しています。

「2029年、2030年には米国家庭や人々の90%が暗号資産を利用するようになる。その際には米国経済だけでなく、安定して世界経済の一部になっているだろう。新技術が0%の普及率から10%に到達するまでにかかる時間は、10%から90%に到達するまでの時間と同じだ。0から10%の普及率の間は“もしも”である。新技術が10%の普及率に達したら、それは“いつ”になる。パソコン、インターネット、1970年代のファックス、1940年代の洗濯機、1930年代の自動車、1800年代の鉄道、1600年代の海運など、多くの例で全ての同じ普及カーブを描いている」

エスティス氏が示す2030年予測の根拠は、技術開発の進展と製品性能の成長の関係を表すS字カーブの分析に基づくものです。2030年までに、各国内での法整備や国際間の法整備も進むでしょう。技術革新が進み、従来の金融企業が業界に参入することで、ビットコインをはじめとした暗号資産の信用は上がり、社会的ステータスも向上するのかもしれません。時間はかかりますから、大切なのはそれまでの間、ビットコインの可能性を信じられるかどうかです。

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この記事を書いた人

中島宏明

経営者のゴーストライター
(書籍、オウンドメディア、メルマガ、プレスリリース、社内報、スピーチ原稿、YouTubeシナリオ、論文…)
  
2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。2014年に一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から暗号通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は複数の企業で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。

マイナビニュースで、投資・資産運用や新時代の働き方をテーマに連載中。