NFTアートの台頭に続き、近年注目されているのが「RWAトークン」です。リアルな資産をブロックチェーン上で取引可能にするこの仕組みは、NFTとはまた違った可能性を秘めています。本コラムでは、NFTの基礎から、NFTとRWAトークンの違い、関連する銘柄、2025年現在も価値を維持しているNFTアート作品、そしてこの領域の今後の展望までをコンパクトに解説します。

NFTアートとは?デジタル時代の所有と証明のカタチ

NFT(Non-Fungible Token)は「代替不可能なトークン」と訳されるとおり、ブロックチェーン技術を活用して“唯一性”を証明できるデジタル資産です。NFTアートとは、その技術を使ってデジタル作品とその所有者を紐づけたもので、画像、動画、音楽などあらゆる形式の作品が対象となります。

たとえば2021年、Beepleというデジタルアーティストの作品が75億円以上(当時のレート)で落札され話題を呼びました。これまでコピーが容易だったデジタル作品に、「発行体や所有者はだれか」「歴代の所有者はだれか」といった価値が加わり、コレクターズアイテムとして成立するようになったのです。NFTアート市場は一時のバブルを経て、現在は「本質的な価値を持つ作品」への見極めが進み、セレクト性が高まっています。

RWAトークンとは?現実資産をブロックチェーンで流通させる仕組み

RWA(Real World Asset)トークンは、現実世界に存在する資産——たとえば不動産、ゴールド、債券、ワインなどをブロックチェーン上で表現するトークンです。これにより、従来は高額・流動性の低さからアクセスしにくかった資産が、より小口に分けて取引できるようになります。

RWAトークンはスマートコントラクトにより資産の管理や配当、譲渡などを効率化できるため、証券化された資産に次ぐ“新しい投資対象”として注目されています。特にDeFi(分散型金融)との接続が進めば、金利を生む実物資産をトークン経由で運用できる世界が現実になります。

NFTとRWAトークンの違いとは?用途と価値の源泉を比較する

NFTとRWAトークンは、どちらも「ブロックチェーン上での資産証明」という点では共通していますが、その本質と用途は異なります。NFTはデジタルアートやゲームアイテムのように「非代替性の強い」資産であり、投機よりも“文化的価値”や“コミュニティとの結びつき”が評価軸となります。

一方、RWAトークンは現実の資産に裏付けされた“代替可能性の高い”資産であり、価格や利回り、法的信頼性などが重視されます。つまり、NFTが「作品性」に重きを置くのに対し、RWAトークンは「収益性と実物資産の信頼」に軸足を置いているとも言えます。また、「NFT」という言葉にネガティブな印象を持つ人もおり、伝統資産を扱う事業者はこの言葉を避けたがる傾向があります。ネガティブイメージを払しょくする意図もあり、「RWAトークン」という言葉が使われている側面もあるでしょう。

メジャーなNFT銘柄・RWAトークン銘柄(2025年版)

NFTアート関連では、依然としてEthereum(ETH)が主要な取引基盤であり、NFT発行に使われるERC-721/1155規格を支えています。その他、Tezos(XTZ)は低ガス代とエコ性でアーティストに支持されており、Polygon(MATIC)もWeb3ゲームやエンタメ系NFTで存在感を高めています。

一方、RWAトークン領域では、Centrifuge(CFG)がDeFiとRWAの橋渡し役として脚光を浴びており、Ondo Finance(ONDO)は米国債などのトークン化で急成長。Maple Finance(MPL)も企業向け融資をトークン化し、運用型RWAの先駆けとなっています。RWAは規制面の整備も重要で、各国の金融法制との整合性が今後の成長を左右すると見られています。

2025年現在も価値を維持しているNFTアートはある?

NFTバブルが一巡した後でも、価値を維持し続けている作品はいくつかあります。

代表的な例は、Beepleの作品に加え、XCOPYという匿名アーティストのデジタルアート。その作品は強い社会的メッセージとスタイルで評価が定着し、2025年現在も二次市場で取引されています。また、Art Blocksのジェネラティブアートコレクションの一部は、アートファンやコレクターからの支持を受けて価値を保っています。価値の持続要因としては、①作家の信頼性、②作品としての完成度、③コレクター間の流動性、がポイントです。短期的な値動きよりも「ストーリーとコミュニティ」を重視した投資が、長期的には報われやすい傾向にあります。

NFT・RWAトークン投資の未来とは

NFTはアートにとどまらず、音楽・チケット・ライセンス管理といった新領域へと拡張しつつあります。AIが生成するアートとNFTの融合や、リアルイベントとの接続を通じた「体験型NFT」など、新しい形が模索されています。

一方、RWAトークンは、世界的に資産のトークン化(Tokenization of Everything)が進む中、金融インフラの一部としての地位を確立しつつあります。特にアメリカやシンガポールでは、規制に適合したST(セキュリティトークン)の整備が進み、安定資産へのトークン投資が一般化する兆しも。今後、RWAとNFTが融合し、「所有するだけでなく活用できる資産」として進化する可能性も見逃せません。

この記事を書いた人

中島宏明

経営者のゴーストライター
(書籍、オウンドメディア、メルマガ、プレスリリース、社内報、スピーチ原稿、YouTubeシナリオ、論文…)
  
2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。2014年に一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から暗号通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は複数の企業で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。

マイナビニュースで、投資・資産運用や新時代の働き方をテーマに連載中。