所得制限があるものの、自宅を購入する際に賢く利用したい「住宅ローン減税」。新築物件だけでなく、中古(既存)物件でも使えます。
21年12月に22年分の与党による税制改正大綱がまとまり、22年以降も住宅ローン減税が4年間延長されることになりました。正式には通常国会での決議後ですが、与党が過半数を占めているため、次年度以降も継続が事実上決まりました。
(キャッシュリッチな富裕層も自宅はローンで購入すべし)
富裕層の方の中には、現金で自宅を購入される方も時々おられるようですが、自宅を購入する際には、住宅ローンを組むことが有利なことが多くあります。国は住宅購入を促進し、長らくその支援をしてきました。1つは、金融機関に対して他の不動産購入とは異なり、低金利で融資を行うように仕向けてきたこと。2つめは、購入者に対し、減税を行い、事実上の利子補給を行ってきたこと、です。
このように、キャッシュリッチな方でも自宅購入の際には住宅ローンを活用するのが一般的です。もちろん、ローンには利息が付きますが。
(住宅ローン減税について)
住宅ローン減税は、自宅用の住宅取得の際に金融機関から借りた住宅ローンの利息負担を軽減するため、期間内における年末のローン残高の一定割合を所得税から控除(減額)する制度です。
幾度か名称は変わっていますが、国による「住宅購入支援サポート」制度の歴史は古く、1978年にスタートしています。現行制度の、「住宅ローン控除」は、所得税が控除される制度ため、その恩恵はかなり大きいと思われます。
「住宅ローン減税」は、住宅取得の促進のために導入されている実質減税です。住宅に関わる産業は裾野が広く日本経済の活性化の活性化につながること、また近年2回増税が行われた消費税増税の際には「景気が冷え込まないための支援策と」して、また業界団体からの要望が根強いこと、などから長くこの制度が導入されていると思われます。しかし、一方で昨今のように低金利が続く中では、控除が利息分以上になる例も見られ、不公平感が言われていました。
こうしたことを背景に、今回の税制改正大綱で、住宅ローン減税について、改正が行われました。具体的には、控除率、控除期間等を見直しや年収制限の変更がおこなわれ、かつ環境性能等に応じた借入限度額の上乗せ措置等が講じられます。また適用期間(つまり、今回の改正での延長期間)は、入居ベースで2025年末となりました。
(注:税については個人の状況により適用できないなどがあります。詳細は専門家に確認していただけますようお願い致します。)
(改正される住宅ローン減税適用の要件)
以下の条件を満たせば、住宅ローン減税を適用することができます。
- 住宅建物の延べ床面積が50㎡以上であること。
- 適用をうけ受ける年度の合計所得が2000万円以下であること
→21年までは3000万円でした。
- 新築あるいは取得した日から6カ月以内に入居し、12月31日まで居住していること
- 10年以上の住宅ローンを組んでいる事こと
(改正、住宅ローン減税の内容)
・控除率は、年末時点ローン残高の0.7%が控除されます。
→昨年までは、1.0%でした。
・控除期間は現行の原則10年が原則13 年となります。
→新築住宅や買い取り再販物件は原則13年(ただし2024年入居以降の場合は10年)。既存住宅(中古物件)は原則10年。
・所得要件は2000万円以下。
→富裕層の方でも、給与所得を多く取っていない方も多いと思います。
・床面積要件は原則50㎡以上となりますが、新築住宅の場合、2023年までに建築確認を行えば、40㎡以上でもOKとなります。
→この場合の所得要件は1,000万円以下となります。
(まとめ)
住宅ローン減税は、数百万円単位の減税となり、大変お得な制度です。所得要件が3000万円から2000万円に変更され、富裕層の方で使える方は少なくなったと思いますが、税理士等税の専門家と相談して活用できる方法を検討してみてはいかがでしょうか。