皆さんはどのような手法で株式投資に取り組んでいますか?

ファンダメンタルズ分析と一言で言いますが何をやっていいかわからない、一応やっているけどこれで合っているのだろうか?と疑問に思う方もいると思います。

ファンダメンタルズ投資を行うには「定量分析」と「定性分析」の大きく二つの分析が必要です。

「定量分析」は決算情報から読み解くことができる決算状況、バランスシート、キャッシュフローの動向等です。

「定性分析」は市場環境、業界・セクター動向、会社の歴史、ビジネスモデル、経営者の資質など把握して分析を進めていきます。

株式投資の勝率を上げるためには定量評価をベースに定性評価を突き詰める必要があります。私は考えるウエイトは定量分析が3割、定性分析は7割です。定量分析で基本的な数字を押さえつつ、定性分析を突き詰めることで収益の差につながると考えています。

そのため、定量分析はツールを使うなどしてできるだけ簡潔に行い、定性分析に時間を割くことがキモです。

会社四季報オンラインや各証券会社のスクリーニングツールを利用して定量分析を行うことも不可能ではないですが、有料である、見たい情報が少ないものも多いです。結局、各企業の決算短信などを見に行かねばならず、スクリーニングだけで完結することは難しいです。各企業の決算短信を見に行くのもよいですが、3月決算は2300銘柄程度、集中日には1000銘柄の決算発表が行われます。

極力効率化するために今回は銘柄分析を助けてくれるスクリーニングツールと情報収集、銘柄収集ができるようにオススメツールを紹介します。

マネックス証券の「銘柄スカウター」は定量分析がワンストップできるツールです。このツールは2017年に誕生し、銘柄情報からチャート、決算動向、配当推移、アナリスト予想推移、PERなどのバリュエーション推移、決算修正履歴、適時開示など定量分析に必要な情報を収集することができます。しかも今まで約4年で10回以上のアップデートを行って進化を続けています。

銘柄スカウターの機能の一部を紹介していきます。業績の表示が優れており、売上高や営業利益などの業績を過去10期以上に渡り、表やグラフで表示することができます。さらに、前期比の増減率を表示したり、業績を指数化するなどして変化を把握することができます。利益のチャートが右肩上がりになっていれば長期的に成長している銘柄かどうかを確認することができますし、前期比の増減率やEPS,PERも一目で見ることができます。株価が頭打ちしたり急落する一つの理由として業績の伸び悩みがあります。通常、株価は1~2期先の業績を織り込んで推移していますが、年成長20%~30%の銘柄は数年先までの成長を織り込んでいます。足元成長が少し鈍化しただけで大きな調整になるのはこのためです。急成長中の企業の業績が横ばいになった瞬間にPERが100倍から30倍程度まで調整されることもよく見られます。当然ですが株価は半分以下になってしまいますので業績の変化は次の欄ので紹介する四半期業績も確認しましょう。

通期業績推移

四半期の業績の表示方法も優れています。企業は通常決算短信で業績を2Qなら1Q+2Qなどその期までの「累計」で発表します。クォーターごとの業績を把握するには3ヶ月ごとの業績を取得するには最新の累計値から1つ前の四半期までの累計値を引き算する必要があります。1Q決算であればそのまま見ればよいので計算の必要はありませんが、2Q以降は引き算をするのが大変で時間を取られてしまいます。

3カ月ごとの業績をチェックする理由は「業績の進捗チェック」、「トレンド」と「季節要因」の把握のためです。このツールでは3ヶ月ごとに区切った表示をひと目でみることができるため、銘柄分析にかかる手間を大幅に簡素化することができます。業績の進捗率は必ず確認したい項目で好調な進捗率が確認できれば1Q、2Qは上方修正期待が高まり、株価が大きく上昇する可能性があります。季節要因があったのかどうかも過去5年分の傾向が把握できるので合わせて使って頂きたいと思います。

四半期業績推移

銘柄の比較機能も優れていて同じ業界内の銘柄などを最大6銘柄選択し、株価指標やアナリスト評価など様々な項目を表形式で一覧比較できます。比較することで割安割高を一目で確認することができます。

銘柄の比較機能

銘柄の定量的な分析だけではなく、スクリーニング備えています。「10年スクリーニング」という項目を活用すれば「過去10年間の業績」や「直近の四半期業績」を対象にスクリーニングできます。業績進捗の項目を使って好業績銘柄を発見することができます。

10年スクリーニング

PERやPBR、配当利回りといった株価指標について最長5年間のグラフ表示も可能です。現在の株価が過去のバリュエーションから見てどういった水準にあるかみることで割高・割安の判断ができます。皆さんはチャートを見ることが多いかもしれませんが、PERやPBRのグラフを見たことがある人は少ないと思います。過去、バリュエーションが高い場面、低い場面でどのような値動きをしたか、業績が変化する過程でどのくらい先取りされたのかなどを把握することができます。足元の日経平均などの指数の上昇率などを勘案して数字を確かめるとよいでしょう。

予想PER(会社予想ベース)

企業の財務健全性を詳細に分析できるように貸借対照表の情報を備えています。「簡易表示」と「詳細表示」に分けて表示しており、直感的に企業の財務状況を把握することができます。少し財務の知識が必要ですが、項目別に色分けされているので非常に見やすく作られています。

貸借対照表

(図はすべてマネックス証券銘柄スカウター)

先日、銘柄スカウターについての動画を作成しましたので興味のある方はこちらをご覧頂ければと思います。

効率よく定量分析を行い、定性分析につなげることができれば有望な銘柄を発見する確率が高まると思うのでぜひ活用いただきたいと思います。

この記事を書いた人

坂本 慎太郎(Bコミ)

2002年から証券会社のディーラーとして株式と先物の売買を経験。2008年から株式会社かんぽ生命保険に転じ、社債・地方債・財投機関債のファンド・マネージャーを経験した後、運用計画の策定・株式のストラテジスト、株式のファンド・マネージャーとして運用に携わる。
その後は個人投資家育成のため、こころトレード研究所を運営。ディーラーとして短期、機関投資家として中長期とあらゆる取引スパンを経験し、売買の裏側まで網羅していることが強み。