今月のコンテンツ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1)今月のコラム「米国住宅市場、急ブレーキか?」
2)5月のJREIT市況の振り返り
3)6月のJREIT市場の見通し
4)6月の決算銘柄について
注:執筆は5月31日後場終了時点です。
米国の住宅市場にブレーキのキザシ
新型コロナウイルスの影響が収まりつつあった昨年から販売実績好調が続き価格高騰が続いていた米国の住宅市場ですが、伸び幅が急激に縮小しています。
5月24日発表の4月分新築住宅販売件数は、市場予測は75万戸でしたが、結果は59.1万戸、前月の発表時は76.3万戸でしたが、今回修正され70.9万戸と、予想を上回るブレーキぶりです。また、5月26日発表の4月分中古住宅販売成約件数は前年同月比で見れば、予想では-7.6%でしたが、結果は-11.5%と予想をこちらも下回りました。前月も-8.9%でしたので、米国住宅市場の大半をしめる中古住宅も販売実績が急ブレーキになっています。市場予測よりも落ち込みが大きいことが気になります。
この流れは、言うまでもなく政策金利上昇に伴い、住宅ローン金利が上昇しているからで、1月には3%台半ばだった固定金利は4月には5%台になっています。短期間にこれだけ上昇すると、影響が大きく出ることは避けられません。
加えて、米国住宅価格が急騰していることも要因です。米国住宅価格を指数化したケースシラー指数(20都市分)が5月31日に発表されましたが、結果は前年同月比+21,2%で、予想の19.7%を上回る数字でした。プラス20%前後の数字がしばらく続いています。
しかし、さらに一段の政策金利の上昇→さらに住宅ローン金利の上昇 となれば、販売数激減→価格調整局面に入ることも考えられます。ケースシラー指数は2カ月遅れで公表されるため、タイムリーには見れません。5月分→7月末発表、6月分→8月末発表、このころの数字に注目しておきたいところです。
22年4月のJREIT市場の振り返り
22年5月2日~31日のJREIT市況の振り返りをお伝えします。
東証JREIT指数(総合)は、5月2日(月)1986.9ポイントからスタート、5月12日には1942.0ポイント(この日が5月月間のボトム)。その後は、小幅な上昇が続き31日時点では2006ポイント台で引けました。大きな下げはなかったものの、それほど大きな上昇もなく、という1カ月でした。円安基調が続いていることや地政学的な不安定さが続いていることから、割安感と安定感を求めて機関投資家の買いが入ると見ていましたが、「その感は多少あったものの、それほどでもないな」という状況でした。
分配金利回り(平均)は3.6%台で推移しました。
前月、「私は、この3.6~3.7%前後のJREIT全体の利回りは、「高くもなく安くもなく」の水準となっていると思っています。」と書きましたが、その状況が続いています。日経平均も5月はアメリカ株の落込みに比べ、安定感がありましたが、JREITも似たように安定した状況でした。
6月のJREIT市場の見通し
上昇すると見ていた5月のJREITですが、先に書いたように「それほどでもない」という結果でした。しかしながら、インバウンド観光客の制限が徐々に緩和され、入国者の上限も1万人→2万人に増えますので、ホテル系REITには期待が持てそうです。こうした流れがどこまで全体を牽引してくれるか、が鍵でしょう。
6月の決算銘柄
6月(6月・12月決算期)に決算を迎える銘柄は8本あります。この中から、2つ特徴的な銘柄をご紹介します。
・日本ビルファンド投資法人(8951)は、三井不動産系のJREITです。このREITはJREIT発足時に上場した2つのうちの1本で、現在も最大規模(時価総額1位)の巨大REITで時価総額は1兆円を超えています。名前の通り、オフィスビル特化型REITでその代表的な銘柄です。
特徴は、なんといっても規模の大きさかから来る安定感です。また時価総額が大きいことからREIT指数(総合)への寄与度が大きく、つまりこの銘柄を買っておけば、JREITの平均的な配当分配金利回りを確保する事ができます。機関投資家からの信頼の厚い銘柄です。ただ、大きなREITのため投資口価格は1口70万円前後(5/31時点)で、10口持つにも700万円必要です。
・インヴィジブル投資法人(8963)は、ポートフォリオの約9割がホテルのREITです(残りはほぼ住宅)。特徴的なのは、JREITで唯一海外の物件がポートフォリオに組み込まれていますイギリス領ケイマン諸島の2つのホテルです。
先に書いたように、ホテルREITは今後の伸びが期待でき、また1口当たりの投資口価格も4万円台(5/31時点)ですので、買いやすい銘柄だと思います。