2021年にブームが起こり、2022年以降も取引が続いているNFTアート。各国における法整備や国際間のルールづくりなど、まだまだ課題の多いNFTですが、大きな可能性を秘めていることも事実です。NFTアートの高額取引にはバブル的な要素も多分に含まれており、オーバープライシングの面もあるでしょう。また、NFTアートに関連する詐欺も増えていますので注意が必要です。

NFT関連詐欺 起訴事例「Baller Ape Clubのラグプル」

アメリカの司法省は2022年6月30日に、「Baller Ape Club」というNFT投資プロジェクト運営者を電信詐欺および国際的なマネーロンダリングを行ったとして起訴したと発表しました。

起訴されたのは、同プロジェクトを組織・運営していたベトナム籍のLe Anh Tuan被告。NFTの完売後、ウェブサイトやTwitterアカウントを削除し、プロジェクトを停止しました。いわゆる「持ち逃げ」で、投資家の資金260万ドル相当を盗んだ容疑がかけられています。

この持ち逃げは、「Rug Pull(ラグプル)」と呼ばれる手口です。ラグプルは出口詐欺のことで、開発・運営者が投資家を誘い込んでNFTを販売し、その後プロジェクトを突如放棄して得た資金を持ち逃げする行為を指します。

NFTコンサルタント詐欺

まだ起訴された事例はありませんが、NFTに関連する詐欺師的コンサルタントも存在します。NFTや暗号資産、ブロックチェーン、Web3について教える代わりにシードフレーズを盗む詐欺行為です。

シードフレーズとは、銀行口座でいう暗証番号のようなものです。ウォレットを復元する際に必要な12の英単語で、シードフレーズがわかれば、ウォレット内の資産を自由に扱えてしまいます。善意でNFTなどについて教えてくれる人もなかにはいますが、シードフレーズを要求された場合は詐欺を疑いましょう。

NFTアート投資詐欺に多いセールストーク

最後に、NFTアート投資詐欺に多いセールストークをご紹介します。

「限定NFTの当選おめでとう! このURLから情報を入れて、NFTを獲得してください」

「私は美大生で、課題でNFTについて調べています。良かったら情報交換してください」

「メタマスクの不具合は、このURLから問い合わせてみてください」

「次の有望なNFTプロジェクト情報を配信しています」

NFTアート投資詐欺に遭わないためには、「DYOR」が鉄則です。DYORとは、Do Your Own Researchの略で「自分で調べる」ということ。NFTアート投資に限らず、どんな投資でも同じことです。著名人やインフルエンサー、有名メディアの情報を鵜呑みにしないように気をつけましょう。また、「友人からの紹介や情報」にも注意が必要です。その友人が騙されていることも多くあります。

この記事を書いた人

中島宏明

経営者のゴーストライター
(書籍、オウンドメディア、メルマガ、プレスリリース、社内報、スピーチ原稿、YouTubeシナリオ、論文…)
  
2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。2014年に一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から暗号通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は複数の企業で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。

マイナビニュースで、投資・資産運用や新時代の働き方をテーマに連載中。