ビットコインには「4年周期」の価格変動パターンがあるとされ、これは「半減期アノマリー」として知られています。半減期とは、マイニングによって得られるビットコインの報酬量が半分になるイベントのこと。富裕層が長期目線で資産防衛・資産成長を考える上で、この半減期のメカニズムとその影響を正しく理解することは極めて重要です。

ビットコインの「半減期」とは

ビットコインは約4年に1度、マイニングによって得られる報酬量が半減する「半減期(Halving)」を迎えます。最初は1ブロックあたり50BTCの報酬でしたが、2024年には6.25BTCから3.125BTCへと減少しました。この設計は、最終的に発行上限である約2100万BTCに近づくよう設計されています。

このような供給制限は、法定通貨とは対照的であり、金(ゴールド)に似た「希少性」の特性を持ちます。そのため、ビットコインは「デジタルゴールド」とも呼ばれています。

「半減期アノマリー」とは──過去の価格推移の法則性

半減期のたびに、ビットコイン価格が大きく上昇し、しばらくして下落、その後また次の半減期までに上昇するというサイクルが繰り返されてきました。

たとえば、

  • 2012年の半減期後(初回):数ドルから1000ドル超へ
  • 2016年の半減期後:数百ドルから約2万ドルへ(2017年末)
  • 2020年の半減期後:約1万ドルから6万ドル超へ(2021年)

このように、半減期から約550日後にビットコインの価格がピークを迎える傾向があることから、「半減期アノマリー」として投資家の間で語られてきました。

2024年以降は“過去が再現される”とは限らない

しかし、このサイクルが「今後もそのまま続く」と断定することはできません。2024年4月の半減期後も上昇はしているものの、ETF承認・機関投資家の参入など、外部要因が価格に大きな影響を与えています。

また、市場が成熟するにつれて、ボラティリティ(価格変動幅)は縮小しつつあり、「短期間で数倍になる」ような過去のような成長率は期待しにくくなっている可能性もあります。富裕層にとっては、“過去のアノマリーに依存した投資判断”はリスク要因にもなり得ます。

半減期に向けた「仕込み」のタイミングとは

半減期アノマリーにおいて注目されるのが、「半減期前1年〜半年」に価格が緩やかに上昇を始め、その後急騰するというパターンです。そのため、過去には「半減期前に仕込み、半減期後1年以内に利確」という戦略が有効とされてきました。

富裕層がこの動きを利用する場合、スポット購入だけでなく、一定期間にわたって価格変動リスクを抑えるドルコスト平均法や、税務・法務を踏まえた法人保有スキームなども活用すべきでしょう。

富裕層にとっての「BTC保有」の位置づけ

ビットコインはその希少性から「金に代わるインフレヘッジ資産」ともされており、企業やファミリーオフィス、政府系ファンドが保有する例も増えています。

日本でも、資産防衛・世代間継承を意識する富裕層が「一部をBTCに換えて保有する動き」が始まっています。重要なのは、投機目的ではなくポートフォリオの一部として、価格サイクルを見据えて戦略的に組み込むという視点です。

「半減期アノマリー」の限界──ハッキングや規制も変数

2020年以降、ビットコイン・暗号資産市場にはFTX破綻規制強化などの突発的なリスクが存在してきました。こうした事件が起きると、半減期アノマリーに従った上昇トレンドが一時的に崩れる可能性もあります。

また、今後はアメリカやヨーロッパ、日本の金融規制の変更、税制改革などが「市場の地図」を塗り替える可能性もあるため、過去のパターンだけを信じて資産を投入するのは危険です。

2028年に迎える“次の半減期”に向けて

次の半減期は2028年春頃と予測されており、それまでにビットコイン・暗号資産市場はさらなる変容を遂げるでしょう。機関投資家や政府の参入が進み、ETFの普及、決済インフラの整備、日本では分離課税化の動きなども進行中です。

このような大局観のもと、「いまから4年後を見据えて動き出す」ことが大切な視点です。単なるアノマリーではなく、「規制・制度・社会的受容」の変化も読みながらポジションをとることが求められます。

ビットコインは“読む力”が問われる時代へ

これまでの半減期アノマリーは確かに市場に影響を与えてきましたが、今後は半減期だけで価格が動くとは限りません。むしろ、地政学・経済政策・機関投資家の動きを見ながら、長期視点でのポジション管理が求められます。

富裕層にとって、ビットコインはもはや「投機的な資産」ではなく、「複数の変数に対するリスクマネジメントの対象」として扱うべき時代に入りました。

この記事を書いた人

中島宏明

経営者のゴーストライター
(書籍、オウンドメディア、メルマガ、プレスリリース、社内報、スピーチ原稿、YouTubeシナリオ、論文…)
  
2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。2014年に一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から暗号通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は複数の企業で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。

マイナビニュースで、投資・資産運用や新時代の働き方をテーマに連載中。