「資産運用という良識を、日本の常識にする。」というビジョンを掲げる、株式会社 Japan Asset Management(以下、JAM)。このシンプルで本質的なビジョンの策定に至った背景には、同社代表取締役の堀江智生氏が国内外で得てきた金融業界での経験がありました。本稿では、JAMが資産運用において大切にしている考え方などを中心にお聞きしています。
インタビュイー:株式会社 Japan Asset Management 代表取締役 堀江智生氏
株式会社 Japan Asset Management 公式サイト
インタビュアー:ライター 中島宏明
「顧客人生起点」の提案を徹底
――JAM設立の経緯については、堀江さんのnote「元野村證券の私が、日本一の金融機関を目指してIFA法人を立ち上げた理由」にも書かれていますが、随所に「日本の金融の在り方を変えたい」という思いを感じます。「顧客第一」という言葉もたびたび出てきますが、この意識がJAM設立のベースになっているのでしょうか?
堀江智生氏(以下、堀江氏):証券会社に勤務していた頃から、「顧客第一」という意識を忘れたことはありません。しかしながら、証券会社時代はどうしても「企業に所属する社員」という立場もあります。そうなると、会社の販売方針やノルマを優先させざるをえない場面が多々あるのも事実です。
「本当に、お客様のためになっているのか?」
という自問に対して、少しも違和感や罪悪感にも似た感情を覚えない金融機関勤務の営業パーソンは、おそらくいないのではないでしょうか。
経験を積むごとに、この違和感は私の中で大きくなっていき、「もっとお客様お一人おひとりに真摯に向き合いたい」という想いも比例して大きくなりました。その想いを実現すべく、特定の会社に縛られず、かつ証券だけでなく保険や不動産などあらゆる商品を取り扱う「IFA」という業態がベストだと判断し、JAMを設立しました。不動産については事業部を社内に持っており、M&Aは外部との提携で案件を進めています。開業当初の2018年に比べると、すでに数億円の資産を運用されている富裕層の方々から、積立NISAなどで資産運用を始める資産形成層の方々まで広がってきました。
弊社では、「Vision making.」という言葉を公式サイトでも前面に打ち出しています。商品ありきのご提案や会社都合の押し売りではなく、「顧客人生起点」であることが大前提です。本来は、資産運用は夢を叶えるために取り組むことです。私たちがお客様と一緒になってビジョンをつくり、夢を叶えるためにどのような運用をすれば良いかをプランニング・実行し、夢の実現まで伴走する。これが本来あるべき姿なのですが、日本ではまだまだ実現できていないと感じています。
資産運用で日本をもっと良い国に
――「資産運用という良識を、日本の常識にする。」というビジョンも印象的なのですが、すごく良い言葉ですよね。
堀江氏:私はこのビジョンが現実になれば、日本はもっと良い国になると確信しています。日本には、「活用されていない金融資産」があるからです。
「失われた20年」は気づけば30年になり、GDPの世界順位もこのままでは下がっていくでしょう。レアメタルや石油などの資源はなく、世界に誇った技術力も他国に抜かれつつあり、日本の国際的な存在感は薄れてきています。しかし日本には、「高度経済成長期に先人たちが築いた金融資産」があります。ところが、この金融資産は全く活用されず、預金として眠っています。そんな国は、類を見ないほどです。
この金融資産が眠ることなく動けば、日本のGDPは上がるのです。資産運用の正しい知識を身につけ、人々が貯蓄や資産運用に取り組めるようになる。そんな「良識」が日本の「常識」となれば、個人金融資産のうち預金に眠っている1,000兆円が動きはじめ、その預金が3%でも利回りを稼げれば年間30兆円 = GDPが毎年約5%成長する、ということになります。そうすれば、日本の経済は明るくなり、この国に夢や希望を持てる次世代も増えるのではないでしょうか。経済成長の機運を感じることは、日々の活力に直結すると思います。
資産運用は必須の時代
――ここで聞くまでもないことかもしれませんが、資産運用の必要性について改めて教えてください。
堀江氏:富裕層の方々に限らず、インフレ対策として資産運用が必須になっています。私たちの世代は生まれた頃からずっとデフレだったわけですが、今ではインフレが定着しています。デフレ時代は、資産運用が必ずしも必要ではなかった人たちにも、その必要性が出てきたということですね。預金のままですと物価上昇分、資産が減っているわけですから。
――2024年に新NISAがスタートしたこともあり、資産運用を始める人も増えたと思いますが、JAMではどのようなアドバイスをされていますか?
堀江氏:Vision making.でお客様の夢やご希望をお聞きし、目標やリスク寛容度によってコア投資・サテライト投資のポートフォリオを組んでいきます。「相場は基本当たらないもの」と考え、マーケット環境もみながら株式・債券・オルタナティブの比率を考えてご提案しています。奇をてらう必要はなく、お客様に徹底的に伴走し、資産運用の原理原則を守るようにしています。
資産運用アドバイザーをつける意義
――今はネット証券も普及し、やろうと思えば自分でも資産運用はできるわけですが、あえてアドバイザーを頼る意義はどんなところにあるのでしょうか?
堀江氏:結婚や子育て、住宅や別荘購入、老後などのライフイベントを考え、日々のマーケットをみながら、どのような商品で運用するか。これらをすべて自分でやるのは、至難の業です。富裕層の方々や現役世代の方々に限らず、みなさんとにかくお忙しいですし、一からすべてを自分で考えて取引するのは面倒だと思います。これらをプロに頼ってアウトソーシングするために、私たちがいます。ぜひ頼っていただきたいです。
また、「自分のお金を運用する」と、想像以上に冷静になれません。暴落が来ると頭ではわかっていても、いざその時が来ると感情を抑えきれなくなりますから、身近な第三者の存在が必要なのではないでしょうか。
資産運用アドバイザーの選び方
――頼れる身近な存在となると、どのようにアドバイザーを選べば良いかも気になりますね[HN1] 。
堀江氏:人と人ですので、性格が合う合わないも重要だと思います。ノルマに追われているようなアドバイザーは論外ですが、生涯にわたるパートナーですから、対等で良い関係を築けることが前提になるのではないでしょうか。
――堀江さんのお客様は、同年代くらいの方が多いのでしょうか?どのようなご相談が多いですか?
堀江氏:IFAになってからは、私の年齢±5歳くらいのお客様が多いですね。証券会社時代は、50~60代のお客様が中心でした。最近のお客様は、「M&Aでまとまった譲渡金を得た」という方が多くいらっしゃり、「これから、どうやって生きていったら良いか?」という資産運用以外のご相談をいただいています。もちろん、「大きな資金はあるものの、これをどうすれば良いか?」というご相談もいただくのですが、まずはVision making.で夢をお聞きすることにしています。
お客様の中には、「再度起業したい」という方も、「家族との時間を大切にしたい」という方も、「儲からなくても良いから、やりたかったビジネスを始めたい」という方もいらっしゃいます。お客様お一人おひとりの夢を実現するために、資産運用以外のアドバイスも積極的にさせていただいています。
例えば、会社や事業を売却した人同士をご紹介することもありますし、会社を売ろうか迷っている人も呼んで交流することもあります。「気の合う友人ができた」「売却した人のリアルな話を聞けて参考になった」というお声もいただけており、とても好評です。
――ビジネスマッチングや交流も積極的にされているのですね。お客様とのエピソードで、印象に残っていることはありますか?
堀江氏:お客様お一人おひとりとさまざまな思い出がありますが、「家族しか呼ばれない会に呼ばれたこと」が特に嬉しかったですね。また、証券会社時代のお客様から「立派になったな」と声をかけていただけたこともありました。会社の規模が大きくなっても初心を忘れず、顧客人生起点のご提案を徹底したいと思います。