今月のコンテンツ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1)7月のJREIT市況の振り返り

2)8月のJREIT市場の見通し 

3)8月の決算銘柄について(今回は2銘柄紹介)

注:執筆は7月31日後場終了時点です。

22年7月のJREIT市場全体の振り返り

22年7月1日~31日(29日金曜日が最終)のJREIT市況の振り返りをお伝えします。

東証JREIT指数(総合)は、7月1日(金)1945ポイントからスタート、7月15日には1955ポイントでしたが、その後、JREITは資金流入が続き、22日(金)に2000ポイントを超えました(22日終わりは、1998ポイント)。そして29日終了時点では2021ポイントまで上昇しています。7月半ば以降はアメリカ国債の金利低下続き、その流れでJREITに資金流入があったものと考えられます。

全JREIT分配金利回りの平均は、3.6%台で推移していますが、いまの上昇基調が続けば、3.5%台になりそうです。

8月のJREIT市場の見通し

アメリカ国債(10年物)だけでなく、ドイツ国債(同)など先進国の国債金利の低下が続いています。日本を除く多くの国では政策金利の上昇が続き、それに伴い景気減速の傾向が顕著になってきました。各国のCPIを見ると、いまだ高い上昇率ですが、このまま政策金利の上昇が続けば、その数字も低下するでしょう。

このところの傾向をみると、ホテル系REITの上昇が顕著になってきています。しかし、NAV倍率はまだ1倍を割り込んでおり、まだまだ「お買い得感」があるようです。

一方、苦戦しているオフィスREITですが、空室率の上昇も収まりを見せつつあり、今後に期待が持てそうです。

8月の決算銘柄

8月(8月・2月決算期)に決算を迎える銘柄は15本あります。この決算パターンは1-7月(16本)に次いで2番目に多くなっています。そのうち、2銘柄を紹介しましょう。

(8月決算銘柄の権利落ち日は8月29日(月)となります。)

・福岡リート投資法人(8968)は、その名前の通り福岡を中心に九州(沖縄に1物件あり)の物件に特化したREITです。日本初の地域特化REITとして、上場した際には大きな話題となりました。スポンサー企業も九州電力や福岡銀行など、九州の名門企業が名を連ねています。福岡中州にある、キャナルシティ博多などが主要物件です。

・日本アコモデーションファンド投資法人(3226)は、比較的古株(2006年上場)で、三井不動産がスポンサーの住宅系REITです。賃貸住宅が約95%、残りは、社員寮やシニア系レジデンスのポートフォリオ構成です。全体の84%が東京23区内の物件で、東京23区内、に加えてそれ以外の地域でも構成する賃貸住宅の大半は、三井不動産が運営する賃貸住宅パークアクシスシリーズの賃貸住宅です。

23区内の一等地に建つ賃貸住宅の稼働率は高く、安定感があります。その分、分配金利回りはそれほど高くなく、2%台後半がつづいています。

人気のワンルームマンション投資や1棟賃貸住宅投資を、REITという形で行っているというイメージです。

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この記事を書いた人

吉崎 誠二

不動産エコノミスト
社団法人住宅・不動産総合研究所 理事長 
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。
立教大学大学院 博士前期課程修了。
㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。

【著書】
「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社)「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。

【レギュラー出演】
ラジオNIKKEI「吉崎誠二のウォームアップ840」
ラジオNIKKEI「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演